天使の歌

やったぁ。

そうリエティーは喜んで。

セティの手首を握る腕に、力を込めた。

キュティは2人に近付くのを躊躇ってしまう。

その瞬間。

「……あっ……がはっ、あぁっ!!」

セティの口から、どばっと血が溢れ出た。

彼は左手で胸を押さえて咳き込む。

がくんと膝が曲がり、床に付いた。

「ごほっ……ぐっ……がはっ!!」

握られた手首を引き抜こうとするが、リエティーは笑顔を浮かべたまま、セティの躰に神力を送り込んだ。

「やっ、止めてっ!!」

思わず叫んだキュティは、恐怖で動けなくなる。

踞ったセティの鼻から、耳から、そして、瞳から。

血が、溢れ出た。

「……あ"……あああぁぁ!!」

セティが絶叫する。

その躰が、びくびくと痙攣した。

「……やり過ぎよ。」

ディリーが眉を顰めて呟く。

しかしリエティーは、セティの手首を離さなかった。

「きゃはは!だって面白いんだもの。ちょっと神力を送っただけで、こんなに苦しんでくれるなんて。」

リエティーが声を上げて笑った時。

セティが、掴まれた手首を曲げ、リエティーの手首に指先を伸ばした。

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