天使の歌
セティの瞳から零れた涙が、ぽたぽたとキュティの肩に落ちる。
「……俺……もう……生きたくない……。」
「大丈夫だよ、セティ!私が居るから!私は絶対、貴方の手を離さないから!!」
きっと、見世物のように されたんだろう。
傷付き、ぼろぼろに なった姿を、スティと、此処で死んでいる天使達は、嘲笑ったんだろう。
「ね、セティ。落ち着いて聞いて?」
そう言うと、セティは漸く、キュティを抱き締めていた手を緩めた。
キュティは彼の手を引き、桜と樹を見るよう、促した。
「……人間……?」
「うん。私の、異父兄弟なんだって。」
キュティの言葉に、桜と樹は頷いた。
「初めまして、セティ君。桜です。」
「俺は樹。宜しく。」
「…………。」
セティは、ゆっくりと頷いたが、明らかに警戒しているオーラが漂っていた。
「兎に角、詳しい話は少し離れた所で しましょう。」
桜が そう言うと、樹は自分が着ていたマントを脱いで、セティに差し出した。
「…………?」
困惑するセティに、樹は優しく微笑み掛ける。
「着ろよ。そのままだと、寒いだろ。それに……余り、見られたくないんだろ。」
「…………っ。」
その言葉に、セティは目を見開き。
「……有り難う、ございます。」
小さな声で、礼を言った。