紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
……悪魔?
コートニーは耳を疑った。
けれどオーランドは、穏やかな表情で話を続ける。
「これが何かはわかるか?」
彼は自分の右の袖を肩までまくりあげる。
そのたくましい上腕には、ぐるりと一周するタトゥーが彫られていた。
筆記体に見えるそれを凝視し、コートニーは目を丸くする。
「これは……契約魔法……」
「せや。キミならわかると思った」
オーランドは意味ありげに笑うと、袖を直す。
「長い話になるけど、まずは僕の身の上話から行こうか」
今朝見た夢はな、そんときのことやった。
僕が、悪魔と初めて出会ったときの……。
そんな前置きをして、オーランドは昔話を始めた。