紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~



「僕のお父ちゃんは、物心ついた時には既に、『組織』のリーダーやった」


しかも、特殊なその集団は、生まれつき特別な力を持った……主に精霊の見える人間が集まっていた。


白魔法師だったオーランドの父は、そんな人間をスカウトしてきては、白魔法を教え、仲間に入れた。


自分の力を隠して生きてきた、つまりは辛く寂しい思いをしてきた仲間たちはリーダーを慕い、組織は強い絆を持っていた。


しかし。


オーランドは組織の皆に可愛がられて、すくすく育っていったが……


いつまでたっても、力が現れなかった。


兄のアーロンは産まれてすぐに力を現し、精霊と話ができたらしい。


しかしオーランドは精霊なんか見えたことはなかった。


それより電車や車が大好きで、それらが載った本を延々ぼーっと眺めている、のんびりした子供だった。


父親は、当然気をもむ。



『リーダーの息子が一般人とかありえへん。

どないしたらええねん』



……と。




< 106 / 276 >

この作品をシェア

pagetop