紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
そんなわけで、焦った父に、オーランドはある日、一緒に出かけようと誘われた。
いつもは兄ちゃんばっかり可愛がるお父ちゃんが、今日は僕だけを連れて歩いてくれる。
お気に入りの電車のおもちゃを持ち、車に乗って寝てしまったオーランドは、それはそれは幸せな気分だった。
しかし彼が目覚めた時に見たのは、深く暗い森の中の、洞穴だった。
『お父ちゃん?ここどこやねん』
『すまんな、オーランド。
今日は遊びに来たんやないねん』
『どういうこと?』
意味がわからなかったオーランドは、父にたずねた。
父は、息子を哀れんでいるような、渋い顔をしていた。
でも、容赦はしなかった。
『お前に、悪魔と契約してもらう』
父は息子に、そう言った。
オーランドはやっぱり、意味がわからなくて。
ただ、その言葉の恐ろしい響きだけで、
身体が震えた。