紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~


翌朝コートニーは髪の毛は黒いまま、目だけをブラウンに変色させた。


いつの間にか戻ってきて、二人の間で寝ていたシドを背負い、ホテルの外へ出た。


「これからどうするの?」


「そうやな、もうクライドたちが僕たちがいなくなったことに気付いたやろうから、早くイギリスを出た方がええかもしれん」


「えっ!イギリスを?」


「それが手っ取り早いやろ。

外国までは、移動魔法じゃ来られへん」


「でも私、パスポートがないわ」


困ったコートニーに、オーランドは笑いかける。


「大丈夫。僕にツテがある。

そんなんちゃちゃっと偽造できる友達がおんねん」


「ええっ?」


「裏の職業しとるとな、変なやつらと知り合いになれるもんや」


そんなものなの?

コートニーは手をつなぎながら、オーランドをじろりと見つめた。


天使のような容姿で、いつも穏やかで、笑っていて、肝心なときはすごく優しくて。


(でも、この人もしかしたら、けっこう黒い?)


教会の古いステンドグラスを平気で割るし、敵には容赦ないし、パスポート偽造とか言うし。


無自覚なのか知らないけど、意外にやんちゃじゃない?


パンクファッションを愛する男だものね、常識なんか関係ない、ぶち壊せって感じなのかもしれないけど。


(変なひと)


でも。


(……好き)


昨夜は悪いことをしたと思ってる。


普通の男の子だったら、怒るかもしれなかった。











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