紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
オーランドは、初めて好きになったひと。
ううん、初恋はもっと小さなころ、スコットランドのはじっこであったかもしれないけど。
12歳でナンシーたちにさらわれたコートニーにとっては、思春期になってから初めての恋。
だからオーランドならいいかな、と想像していたけど、現実は……。
(私って、こんなに臆病だったんだ)
彼に全てを預ける勇気なんか、どこを探しても出てこなくて、震えるしかなくて。
でもオーランドは、「大丈夫」と言って、本当に何もしなかった。
(もしかして、私のこと、好きじゃない?)
キスはされたけど、好きだとは言われてない。
言葉が全てじゃないし、事実、こうして自分を連れて逃げているわけだし。
「どうした?」
まばゆい金髪が、太陽の光を反射して光る。
「なんでもない」
コートニーは、オーランドの手をにぎる。
すると、ぎゅっとにぎり返された。
見上げれば、スカイブルーの瞳が笑っている。
(……大丈夫。)
この人に、ついていこう。
彼を信じよう。
コートニーは決意を新たにし、オーランドについていった。