紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
彼の言葉は、誰よりもコートニーの胸にずしりと響いた。
そのことを、オーランドは知らない。
「……覚悟しろ、Unkown」
ランスロットが合図すると、白魔法師がそれぞれの精霊を呼び出し、臨戦態勢に入る。
「しゃあないな、いっちょやったろか」
「や、やるって……」
両手をぽきぽき鳴らすオーランドに寄り添うコートニー。
「決まってるやんけ。
悪魔の力全開で、この場を切り抜けるんや」
「ええ~!」
「初めてのことやから、僕もどうなるかわからん。
暴走しそうになったら、キミが止めてくれよ。
殺したくはないからな」
「そ、そんな……」
「大丈夫や。キミの声なら、聞こえるはず」
なんなの、その根拠のない自信。
コートニーは不安に思いながらも、シドに「援護するわよ」と小さく言う。
普通のヒーローなら、「お前だけでも逃げろ」なんて言うだろうけど。
自分を信じて、一緒にいる道を選んでくれるオーランドの背中を、コートニーは見つめる。
「捕えろ!」
ランスロットの号令で、白魔法師たちが一気に動き出す。
オーランドは右腕のタトゥーに触れながら、いつものように力をためた。
「……ずっと封印してもうててごめん。
もう、暴れてもええで」
呟くと同時、放出される黄金のオーラ。
それは、いつもと同じ色、同じ力に見えた。