紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「消えろおおおおっ!」
オーランドが叫ぶ。
その背がしなったと思うと、人間とは思えない跳躍力で、白魔法師たちの頭上に舞い上がる。
彼らがオーランドを見上げる前に、金と黒のオーラの塊が、紅蓮の腕から吐き出されようとしていた。
「この、大馬鹿者っ!」
夜空に響く大声に続き、銃声が鼓膜を貫く。
それは両方とも、ランスロットの放ったものだった。
オーランドは舌打ちをすると、攻撃を中断し、放たれた銀の弾丸を空中で回転して避ける。
着陸したとき、彼の頬に一筋の赤い線が走っていた。
「ちっ」
オーランドは親指でその傷口をぬぐうと、ぺろりとその血をなめた。
赤く染まった唇から出るのは、悪魔と同化した、不気味な声。
「邪魔すんな……」
うなった彼の右腕が、さらに赤く腫れあがる。
「これ以上仲間に危害を加えると言うのなら、私がお前を殺す」
ランスロットは容赦なく、オーランドに銃口を向ける。
オーランドは何も言い返さず、その右手をランスロットに向けた。
「もうやめて!」
コートニーは彼らのところまで走る。
「あんたたち、止めなさいよ!
このままだと、私たち全員巻き込まれて、あのお城ごと吹っ飛んじゃうわよ?」
白魔法師たちに語りかける。
しかし彼らは、誰も動こうとしなかった。