紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「ふふ……どうしようかな。
このままここで、世界を終わらせてやってもいいんだけど」
カートはペンタグラムをもてあそびながら、楽しそうに言う。
「けど、これについてはナンシーも僕も、色々と調べたいからね。
少しだけ、君たちに猶予をあげよう」
コートニーは言葉を失う。
カートが、あの強大な力を手にしてしまった。
世界は、終わりだ。
「それを、渡せ……!」
隣のオーランドがうなる。
右手はカートの魔力に反応し、また苦痛を彼に与えるようだった。
「良かったら、君もプリンセスと一緒に来るかい?
その中の悪魔は、より力の強い僕に仕えたがっているようじゃないか」
ああ、やっぱりそうなんだ。
自分に反応しなかったのは、単に自分の力が弱いから……。
コートニーは唇を噛む。
なによ。プリンセスに心を許してるだなんて、ただの口説き文句なんじゃない。
オーランドの中の悪魔は、より強い力を持った主を求め、暴れ続ける。
(バカにするんじゃないわよ……)
コートニーはだんだん腹が立ってきた。
どいつもこいつも、人の気持ちを無視して。
傷つけて、奪って、利用して。
オーランドだって、コントロール失って悪魔に乗っ取られそうになってるし。
(私だって、すっごい血継いでるんだから!)