紅蓮の腕〈グレン ノ カイナ〉~六花の翼・オーランド編~
「さんっ!」
背後に近づいた敵の胸に、肘をめりこませる。
ずるりとその体が崩れ落ちる前に……
「しい、ご!」
左から来た敵をなぎ払い、振り向きざまに回し蹴りを食らわせた。
吹っ飛んだ死者は、その背中で他の死者も巻き込みながら倒れる。
「無茶すんじゃねえ、オーランド!」
クライドが向こうの端から、オーランドがいるところまで敵を燃やしながら近づいてくる。
「おー、あっちはいいんか?」
「アリスがいるからな。
それより、異変に気づいたか?」
「異変?」
話す間も、彼らは休まずに攻撃し続ける。
死者の弱点は日光と炎であり、クライドの攻撃の方が有効だ。
オーランドは彼らの動きを止めることはできるが、完全に消滅させるには日光に当てるか、燃やすかしかない。
しかし、日光に当たっても平気な死者が出てきてしまった。
それと対峙するのは、今回が初めてだが……。
「こいつら、火炎にも耐性をつけてきてる」
「……なんやて?」
「少しの火じゃ、びくともしなくなってるってことだ!」
「な……っ!」
クライドとの会話に夢中になっていたオーランドを、横から死者が殴りつける。
オーランドはその腕が胴にめり込む前に、とっさに両腕でガードした。
「く……っ!」
そのこぶしは、今までの死者のものとは違う。
数段重くなっていることに、ようやく気づいた。