桜廻る
「分からない……?」
「ここら辺、俺が住んでいる所とは、まるで違う。もしや異国に来ちまったのか…」
「はい…?」
言ってる意味が分からないというか、ここが異国、なわけがない。
ちゃんと、日本だ。
「お前の着物も、なんか異人みてぇだな。さっきから気になってはいたんだが」
「い、異人…⁉」
雅は目を丸くした。
「わ、私ちゃんとした日本人だし、ここ日本ですよ…?」
「そんな着物は初めて見たぞ」
「じゃあ土方さんだって、その服装おかしいんじゃないですか?」
「あ?こっちの方が普通だろ」
……意味が分からない。
「そこでだ。お前に頼みがある」
「は、はい?」
改まった感じで土方に見つめられ、雅は思わず姿勢を正す。