桜廻る


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「こ、これ。履いて下さい」





雅は、青いスリッパを土方の足元に置く。


怪訝そうにそれを見つめる土方。





「妙な草履だな」


「……。とにかく、それ履いて、中に入って下さい」





雅はカチッと電気を付けて、歩いて行く。


土方は、雅の一つ一つの行動に驚いているようだった。





「そこに座って、ちょっと待ってて下さい」





ソファーを指さす。


土方は難しい顔をしながらも、素直にそこに座った。


着物を着た土方。


その土方が、スリッパを履いて、ソファーに座っている……。


何とも奇妙な光景だ。



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