桜廻る
「2両だ。それで足りるだろう」
「りょ、両…?」
「……足りないか?」
また、沈黙。
雅が今持たされたお金は、それこそ昔の、江戸時代とかで使われていたようなものだ。
こんなの、教科書とか時代劇でしか見た事がない。
それを、平然と人に渡すなんて……。
しかもいきなり、“居候させろ”だなんて。
この男は、何者だろう。
雅はまた、短時間で、たくさんの事を考えていた。
「と、とにかく!ここじゃなくて中に入って下さい」
「あぁ。すまねぇな」
何となくここで話すのも変な気がして、雅は土方を中に入れた。