桜廻る




時猫は大きな輪を出した。


そして、その輪が明るく輝き……。


一人の女の人が、姿を現す。


雅は目を見開いた。





「え……」


「みやび……」





その声は。


今までにも、何度も聞いたことがあるものだった。


“貴女は、幸せに”


女の人は雅を見つめ、優しく微笑んだ。





「雅……!」





そして、ぎゅっと抱きしめる。


その温もりに、声に……雅は、だんだんと落ち着いていった。


その、声の主は──。




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