王に愛された女
自分より年下で無垢な少女の香りは、どこか懐かしくて体温もオラシオンが心のどこかで求めていた温かな温もりだった。
「俺の傍にいてくれ…」
人にこんな頼みをするのも、弱みを見せるのも初めてだった。
「王様…」
オラシオンはガブリエルを離した。
「すまなかった。飯にしよう」
オラシオンが言うと、ガブリエルは静かに頷いた。
「あ、これうまいな」
オラシオンはガブリエルの料理を口に入れて驚いた。いつも王宮で食べる食事のどれよりもおいしいと感じた。
亡き母の手料理を思い出させる味だった。
涙が頬を伝う。
「どうしましたか、王様?口に合いませんでしたか?」