王に愛された女



 アリシアは言ってから急に目尻を吊り上げた。

「ところであなた、なんでここにいるの?」

「王様に連れてこられました」

 ガブリエルが戸惑いながら答えると、アリシアははっきりと態度を変えた。

「まぁ!また遊ばれた子が増えたのね!可哀想に」

 それを聞いたガブリエルはムッとした。

「遊ばれてません。添い寝しただけです」

 添い寝しろ、と言ったのは国王だったがそれは敢えて言わない。

「あら、どっちにしろかわいそうね。だってあの人の妻になるのは私だもの。この後宮の中で、王様に一番愛されているのは私よ?だって、一番寝た回数が多いから。残念だったわね」

 ガブリエルはアリシアの自慢げな態度に驚きつつも、態度は変えなかった。

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