王に愛された女





 国王が、ガブリエルの顎から手を離し、代わりに右腕を掴んだ。

「来い」

 国王に連れられ、ガブリエルは寝所を出た。

 国王は階段を上って後宮の屋根に出られる場所へ向かう。

 はしごを上って屋根に顔を出すと、強い風がガブリエルの金髪をなぶるようにして吹き抜けて行った。

「…ガブリエル、俺にしっかり掴まれ」

 国王に言われ、ガブリエルは国王の腰に腕を回した。

 国王が剣を構える。

「神の翼(ゴット オブ ウィング)」

 彼が言った途端、彼の背中に翼が生えた。

「えぇ!?」

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