王に愛された女




 言いづらそうに、女が俯く。

「何があったんですか?」

 そう聞いたときだった。

 王宮の方から山のような藁を積んだ荷車が出てきた。

 フィオーレは、こんな夜分に王宮を出入りする者がいるのか、と思いつつ、女に目線を戻す。

「教えてください」








「王様と王妃様が、先ほど亡くなられたんです」

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