王に愛された女




「王様」

 王子のカイルが金色の目を細めた。

「気にするな、カイル」

 カイルは、ルークの後を継いで王になる器だった。

「…王様…」

 カイルの兄のイアルも不安そうに聞いてくる。

「イアルも。気にするな」

 イアルは気付いただろうか。彼に対する態度が、カイルに対するそれと比べて厳しかったことに。否、幼い彼にはわからないだろう。

 ルークは頭の中でそんなことを考えながら馬車の窓を閉ざした。

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 王宮に戻ってすぐ、ルークは女人アリシアを呼びつけた。

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