王に愛された女
まさか、という疑いの気持ちと、絶対そうだ、という確信の気持ちが心の中に入り混じっている。
「…王様。アリシアです」
分厚いドアの向こうでアリシアが言った。
「入れ」
ルークは執務用の机から立ち上がった。
「王様、何の御用でしょうか」
アリシアが頭を下げたまま問う。
「単刀直入だな。…少しは世間話をしようなど思わなかったのか」
ルークが冷たく言い放つと、アリシアは頭を上げた。
「王様とはくらべものになりませんが、私もそれなりに忙しいので」
「そなたより忙しい俺が言うのだ、世間話くらいできるだろう」
ルークは言いながら、彼女に席を勧めた。
「……最近どうだ?」
ルークは問うた。
「特に変わりはありません」
「…そうか。そなた、さっき何の用かと聞いたな」