王に愛された女




 ルークは怒っている様子でもなければ呆れている様子でもない。

 無表情の顔を見たまま、アリシアは言葉をつづけた。

「これで、満足ですか?二人が死んだことになっていた、それで満足ですか?」

 ルークが立ち上がる。

「…出かける支度をしろ」

 その言葉に、拍子抜けた。

「…―――え?」

「二人の様子を、見に行く」

 ルークはそう言って、部屋の扉前まで歩いて行った。

「なぜ、わざわざ二人に会いに行くのですか?」

 アリシアは疑問に思って聞いた。

 まさか、二人を殺そうとするのではないかと不安になったのである。

「この目で確かめなければ俺は満足しない。二人が生きていて、オマエが助けたことで幸せを得たということをこの目で見なければ、満足しない」

 ルークはそう言って、微笑を浮かべた。

 アリシアは驚いたが、すぐに頭を下げた。

「はい、仰せのとおりに」



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