ブラックⅠ-出会い-
「いこうか」そう言ったアキさんの横を並んで歩く。
「アオイちゃんの事は大体調べさせてもらったよ。勝手にごめんね」
申し訳なさそうに謝るアキさんへ、ふるふると顔を横に振った。
「高校は、別の所を用意するから」
郁也が通っているあの学校にはもう行かれない。
行けるはずが無い。
「それと仙崎郁也の事だけど、これからあいつにアオイちゃんが何かされることはもうないよ。安心して」
郁也がどうなったとか、気にならない訳じゃ無かった。
だけど、私の一言で郁也がどうなったのかと思うと怖くて聞き出せなかった。
自分の事を酷い人間だと思う。
もちろん郁也が私へしたことは許されない事だ。
だけど自分で関係も切れず、他人に助けを求めた自分を、本当に酷い人間だと思った。