星月夜のマーメイド
「はい。突然で本当に申し訳ないです。」
「大丈夫よ。あらあら課長には言ってるし。いつでも実家に戻れるようにって。」
中島さんの相変わらずの優しさに涙が出る。
「光輝君に、頑張ってと伝えてください。」
「あらやだ、直接言いなさいよ。」
「…連絡先、知らないので。」
あらーそうなのー?と呑気な声で言うと、ちょっと悪そうな声に変わってこう言った。
「じゃぁ、私からエレンちゃん情報流すからね。」
この電話の翌日、離婚届を郵送し私は実家に戻った。