奏でる場所~SecretMelody~
~陽輝side~
…コンコンッ
重い足どりでようやくたどり着いた音楽室。
ノックをしても返事はない。
良かった…
誰もおらんねや。
俺は安心し、音楽室に入る。
そして、中央にあるピアノの近くの床に座った。
…どうしよ…
次、奏と会った時、俺どんな顔すれば…
叶うことなら、ずっとこのままの関係でいたい。
何気ないことで、笑いあえる、大切な友達。
もう、無理なんかな…?
俺、奏のこと好きやのに…
だから…だからこそ、特別な関係にはなられへん。
でも、側にはいて欲しい。
…俺、かなりワガママやな。
前…時間止まればいいって思ってたけど、どれだけ願ったって進むもんはすすんでまう。
未来を作るためにな。
そう思ったら…俺は喘息という病気で良かったんかもしれへんな。
健康な人間の誰よりも命の尊さと触れ合えて、誰よりも毎日を大切にしようと思える。
それは…病気を持っている人全員かもしれん。
けど、それを感じたうえで、長生きしてるんや。
その分、幸せとか苦しさとか、沢山の痛みを知ってる。
俺、生きてて良かったって。
奏と出会えて良かったって。
両思いなんか…特に。
何万、何千とおる人間の中で起こる、小さいようで、すっごい大きい"奇跡"。
俺らがであって、恋に落ちたこと。
これだけでも、夢みたいな話や。
…奏…告白してくれてありがとう…
気持ちはすごい嬉しいよ。
出来ることなら、俺も気持ちを伝えたい。
でもな。
やっぱ、傷つけたくないから。
俺、弱いから。
奏を守られへん。
今まで経験した、過去。
もう、繰り返したくない。
俺と、一緒におるだけで傷ついていく大切な人をこれ以上、増やしたくない。
もし、0に近い可能性でもあるとするなら。
俺はきっとそれにかけることはない。
怖がって。
怖がり続けて。
どんなに気持ちを伝えたいと思っても…
やっぱり、そんな"資格"。
俺には無いんやから…。