祈りの月
海洋研究所の職員は、今回その船に乗る許可が下りていた。
船に乗るか、残るかは、個人の意思に任されているのだが、1ヶ月後までに決めなければならない。
今のところ、地球への帰還希望者数は公表されていないが、場合によっては研究所が閉鎖されることにもなりそうだった。
多数の研究者がいなくなれば、研究そのものが中止せざるおえないだろう。
「オレたちは地球人とはいえ、生まれたのはここだもんな。カイ、お前は、どうするんだ? 地球へ行くのか?」
「まだ、決めてない・・・・・・」
カイは窓からチラリと海を見やった。
昼間であれば、輝くような青い海原が見渡せる。美しく澄み渡る『原始の海』。地球人さえいなければ、その名の通り、太古から変わらずにあり続けたであろう、美しい海。
カイは今まで、一度も地球へ帰りたいとは思わなかった。生まれたのも、育ったのもこの美しい星だ。
それに、帰るチャンスはないと思っていた。
たぶん、数年前までは、惑星ティルシアにいる地球人はみなそうだったに違いない。
10年前に、地球政府から帰還許可が下りるまで、地球を出た人々の子孫は、移住先から地球への帰還は基本的に認められなかったのである。
それには、様々な理由があったようだが・・・・・・。
いずれにしても、地球へ帰還可になったのは、ここ10年ほどの話でしかない。
しかも地球行きの船は少ないから、地球政府の船が迎えに来るとは予想もしていなかったのだ。
船に乗るか、残るかは、個人の意思に任されているのだが、1ヶ月後までに決めなければならない。
今のところ、地球への帰還希望者数は公表されていないが、場合によっては研究所が閉鎖されることにもなりそうだった。
多数の研究者がいなくなれば、研究そのものが中止せざるおえないだろう。
「オレたちは地球人とはいえ、生まれたのはここだもんな。カイ、お前は、どうするんだ? 地球へ行くのか?」
「まだ、決めてない・・・・・・」
カイは窓からチラリと海を見やった。
昼間であれば、輝くような青い海原が見渡せる。美しく澄み渡る『原始の海』。地球人さえいなければ、その名の通り、太古から変わらずにあり続けたであろう、美しい海。
カイは今まで、一度も地球へ帰りたいとは思わなかった。生まれたのも、育ったのもこの美しい星だ。
それに、帰るチャンスはないと思っていた。
たぶん、数年前までは、惑星ティルシアにいる地球人はみなそうだったに違いない。
10年前に、地球政府から帰還許可が下りるまで、地球を出た人々の子孫は、移住先から地球への帰還は基本的に認められなかったのである。
それには、様々な理由があったようだが・・・・・・。
いずれにしても、地球へ帰還可になったのは、ここ10年ほどの話でしかない。
しかも地球行きの船は少ないから、地球政府の船が迎えに来るとは予想もしていなかったのだ。