俺様と闘う私『一部・完』
 それ以降、沈黙が続いた。
 

 ハッキリ言って、超空気重い。


 元々約束の2時まで後3分……ってところで、志貴が重たそうに口を開いた。




 「本来なら許されないんだけど、お前静かに座ってられるか?」

 「はぁ?」




 最近ようやく分かったんだけど、と言っても付き合い自体が最近なんだけどさ。


 志貴って偉そう云々の前に口下手なんじゃないかと思う。


 弁護士特有か何か分からないけど、頭ん中で考えてることをスッキリ整理したら残った言葉だけを言うって感じで。



 で、それを読み解けない私が馬鹿にされるってのは非常に不愉快なんだけど。



 さすがに今回は私のせいではなかったのか



 「いや。今から人来るけど、お前は黙って座っとけ」



 
 ……面倒くさくなったらしい。




 「分かった」




 こういうときの志貴は突き詰めるほど詰(なじ)ってくるから、私は諦めて一息吐いてから志貴の隣へと移動した。



 久しぶりの志貴の隣―――




 ドキドキする。



 トクトクと動きを速める心臓を、きゅっと服の上から押さえて、小さく深呼吸をして俯くと




 「来た」




 緊張の面持ちで、志貴が私に一言そう告げた。



 志貴をこれほど緊張させる人って、誰……?
< 192 / 213 >

この作品をシェア

pagetop