俺様と闘う私『一部・完』
 家を出て、お気に入りの水玉模様の傘を開くと少しだけ足早に歩を進めた。



 マンションまであと少しというところで……


 久しぶりに近所に住む未希ちゃんに出会った。


 けれど、未希ちゃんは受験生なのに傘も差さずに走っている。



 「未希ちゃん!」



 声をかけると



 「あ、理香ちゃーぁん」


 のほほんとした返事が返ってきた。


 「か、傘は!?」

 「あー忘れちゃって。えへへ」

 「えへへじゃないよっ!? ホラこれ使って!!」



 私は無理矢理お気に入りの傘を押し付けた。


 「え!?」

 「受験生のくせに風邪引くようなことしちゃだめっ」

 「う……でも、理香ちゃんは?」

 「私はもうすぐ目的地に着くし、小雨だから大丈夫! ホラ持ってって!」

 「分かった。ありがと、また返しに行くね!」

 「はいはい。帰ったらしっかり体拭いてね!」



 あと5分もすれば志貴のマンションに着く。


 私はさらに足早になって、先を急いだ。



 ところが……



 小雨と思っていた雨が、突如どしゃ降りに変わってしまった。
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