俺様と闘う私『一部・完』
 気を失った私が目を覚ました瞬間。


 発した第一声は……



 「なぁにすんのよーー!!」



 だった。


 

 思いだしてほしい。


 奴だ。



 丁寧に私の体を拭いて、大丈夫か? なんて言う人間ではないということは、もう存じているだろうと思う。



 でも。―――でもね?



 奴は、私をずるずると部屋の中へ引き連れて、そのままバスルームへ私を放り込み、全開でシャワーを頭からぶっかけてくれたようだ。



 なにすんのよーーーー!!



 と叫んだ私の第一声は、意識を取り戻した直後の感想として間違いではないはず。



 なんだけど……



 「元気そうだな」



 志貴からはとんでもない返事が返ってきた。



 「とりあえず温めとけ」



 シャワー全開のまま、志貴は私を風呂場に置いて立ち去った。



 ―――え、このまま!?



 っていうか、なんで温めなきゃならないの?



 という疑問にようやく至った私は、気を失う前の記憶に辿り着いた。
< 58 / 213 >

この作品をシェア

pagetop