俺様と闘う私『一部・完』
 もう……唇がつくんじゃないかって思うくらい近かった。

 あっ、アイツとき、キスなんてありえないんだけどさっっ!?



 心の中でドキドキに言い訳しながら、立ち上がろうとすると



 「待て」



 私は犬じゃないっつーの!!


 と一瞬言いそうになったけど、私は肩をガシっと押さえつけられて浮き上がったお尻を再び椅子に押し付けられた。




 その直後、背面に回った志貴。




 ふわりと彼の両手が目の前にきた。



 「ちょっ!?」

 「黙ってろ」




 ひやっと鎖骨の真ん中あたりに冷たさを感じたかと思ったら、うなじのあたりでチャリと音がして、少し首に重みを感じた。



 「……ぇ?」



 俯いて見ると、胸元の少し上あたりに、小粒のダイヤがきらりと光っている。



 「し、志貴?」



 突然のことに私はパニックを起こした。



 けれど、そんなパニックの状態の私の左手を掴んできて―――




 「!?」

 「落とすなよ」




 私の薬指に細身のリングが嵌められた。
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