澄んだ空の下で

途方に暮れるようにマンションまでの道を歩いた。

全然、周りの風景なんて目に見えてはいなかったけど、気づけばいつの間にかマンションに辿り着いてた。


いつもの様に広がる光景。


空き缶も、吸い殻で埋もれる灰皿も、何もかも見るのも嫌になってしまった。



…あたしは、周りに不幸を与えてんのかな。



お母さんにも、アオにも、美奈子にも…

恭にも。


あたしが居ると、迷惑なのかな。


暫くしてボンヤリとする空間の中、秘かに鳴る振動の音で意識がハッと戻る。

スカートの中からスマホを取り出したあたしは、その画面に映る名前に少し目を見開いた。


「……」

「もしもし?」

「……」

「あれ?若菜?」

「…うん」

「ちょっと、聞こえてるんだったら返事してよ」


電話越しから小さくため息が聞こえる。


「どうしたの、…お姉ちゃん」


電話は、お姉ちゃんだった。

いつぶりだろうか。

そんなの、分かんない。


「元気にしてる?」

「…うん」

「って、声が元気そうじゃなさそうだけど」

「何かあった?」

「あーそうだ。あたし結婚するの」

「え?結婚?」


まさか、そんな話だとは思わなかった。

だから内心凄く驚いてた。
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