澄んだ空の下で
夕方に差しかかった街並みは人で溢れ返っていた。
多分、こんなに美奈子と共にしたのは初めてじゃないかってくらいに色んな店を歩き回った。
「…ねぇ、」
「うん?なに、若菜ちゃん?」
どれくらい時間が経ったか分からない頃、あたしは美奈子に声を掛ける。
「あのさ、」
「うん」
「美奈子のお母さんの店に行こうよ」
「え?ママの店?」
「そう」
美奈子は少しビックリしたのか目を見開く。
「どうして?」
「どうしてって、行きたいから。それに、来てって言われてまだ行ってないから」
そう言うと、美奈子は頬を緩めて笑みを漏らした。
「うん!いいよ。ママも喜ぶと思う」
「じゃあ、行こう」
「うん!」
美奈子と肩を寄せ合って、大通りに向けて歩く。
夜になるにつれて人だかりが増す。
学生、OL、サラリーマン。
ごった返す街並みがなんだか窮屈に思えるほど、人が増してきた。
その、人が増す大通りの真ん中。
丁度、信号が赤に変わった時だった。
横断歩道を目の前に足を止めたその真向かい。
「……っ、」
前方で同じく足を止めている恭を目で捕らえてしまった。