澄んだ空の下で
「場所、変えんぞ。これ以上濡れると風邪引く」
恭の声が心地よく感じてしまった。
なんで、そうあたしに構うの?
なんで、あたしに近づくの?
それとは別にアオと美奈子が言った言葉が頭から離れなかった。
…やっぱし、好きだよ。
声を聞くと、顔を見ちゃうと、好きだよ。
恭の事。
気持には嘘をつけなかった。
だから誰にも取られたくないってのが本心だった。
だけど、恭とは居れない。
居ちゃダメなんだ。
次第に溢れだす涙が止まらなくなってた。
もう雨と重なって、何が何だかわからないままに頬が濡れる。
震える身体があまりにも冷たくて、グッと強く自分の身体を抱きしめた。
と、その瞬間。
「……っ、」
ビクンと震えあがる身体を温かい腕に包まれる。
俯いてたあたしの瞳には恭の足が目に飛び込んだ。
その視界を捕らえた瞬間、フラっと眩暈が起きて視界が途切れた。