澄んだ空の下で
「…あ、あの…」
「体調の方はいかがでしょうか?」
「…え?」
「12時間以上眠ってらっしゃったので」
「12時間以上…」
「えぇ。お腹も空いていらっしゃる事だと思いますので、お食事の用意をさせていただきます」
「えっ、…あ、あのっ、」
状況が掴めないままだった。
混乱するあたしの目の前で知らない女の人がエプロンをしたまま、せっせと動く。
「あっ、あのっ!すみません!!」
思わず張り叫んだあたしの声に、女の人は手を止める。
「どうかなさいましたか?体調まだ悪いですか?」
「いえ、そうじゃないです。あの…」
「あ、あぁ…。そうでしたね。私は原田と申します。恭様に頼まれて、あなたの手助けをしろと」
「…は?」
訳の分からないこの状況に思わず声が裏返る。
…恭?
だけど、見渡す限り本当の恭のマンションだと知る。
一度だけ来たことのある、恭のマンション。
見える先にはあの一面ガラス張りが広がっていた。
…なんで、ここに居るの?