澄んだ空の下で
「それと、これを預かっています」
女の人が言いながらエプロンのポケットから一枚の紙切れを取り出し、差し出す。
その差し出された紙を手にし、開けると。
11文字の番号が刻まれていた。
まさしく、ここに掛けろと言う意味だろうか。
それ以外何も一言も書かれていない。
「すみません、ちょっと…」
少し遠慮気味にそう呟いたあたしは、その場を離れる。
さっきまで眠っていた場所に置いてある鞄の中からスマホを取り出した。
少しづつ震えてくる手に力を込める。
そしてひと呼吸すると、あたしは番号を打ち込んだ。
数秒置いて耳にスマホを当てると、既に音は鳴り響いてて、その音に心臓までもがバクバクとし始める。
掛けて何言おうかなんてとくに考えてもいない。
昨日の出来事がまだ、記憶に残るとともに吐き気が込み上げる。
頭、痛い…
頭痛かな。
「…はい」
プツンと途切れた音とともに低い声が耳に伝わる。
「…あ、あの…」
つい、口ごもってしまった。