澄んだ空の下で

「だから帰んな。分かったか?」


どこまで命令口調な訳?


「……っ、」


不意にズキンとお腹に痛みが走る。

はぁー…っと、息を吐き出し無意識にお腹を擦った。


…痛い。


「おい、どした?」

「……う、ん…」

「若菜?どうしたっつってんだろ?」

「なんでも、ないから…」

「なんでもねー事ねーだろうが」


お腹に手を当てて痛みを我慢する。

チクチクと痛みを耐えるとともにフラッシュバックの様に昨日の事が頭ん中を過る。


…あ、薬。


ふと、思いたった事に俯いていた顔をハッと上げた。


「ごめん、やっぱりあたし…」


変な汗が伝った。

どれくらい時間が経ったのかも分かんないし、72時間すら過ぎてんのかまだなのか分からない。


病院に行くって言っても、どうしたらいいのか分からない。


だからと言って、恭にちゃんと説明なんて出来ない。

その瞬間、悔しくて一粒の涙が頬を伝った。


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