澄んだ空の下で

「若菜ちゃんは嫌かもしれないけど、あたしは若菜ちゃんの友達だよ」

「わ、分かったから離れてよ!」


美奈子の身体を離そうとするあたしの前方から見えたアオの姿。

いつもは…

いつもは絶対に無表情なのに、今日だけは違った。


通りすがりに絡まり合った視線。

そして、アオはフッと表情を緩めて微笑んだ。


「…あ、蒼斗くん」


未だ抱きつく美奈子は小さく呟く。


「ちょっ、マジで美奈子離れてよ」

「あっ、ごめん。だって、会いたかったから」

「あたしはアンタの彼氏じゃないから」


離れた美奈子にそう言って、足を進めると、小走りに美奈子はあたしの隣で歩幅を合わせる。


「分かってるよ。ねぇ、若菜ちゃん…」


少しトーンを落とした美奈子の声。


「うん?何?」


隣を見ると、美奈子はちょっと気まずそうな表情をする。


「蒼斗くんにありがとうって、言ってないの。若菜ちゃん、言っといてくれる?」

「えっ?あたしが?」


思わず立ち止ったあたしに、美奈子は目の前で手を合わせた。



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