澄んだ空の下で
「お願い。迷惑かけちゃったし…」
「やだよ」
素っ気なく返して再び足を進めるあたしに、美奈子は小走りに駆け寄って来る。
「何で?若菜ちゃん…」
「自分でいいなよ」
「だって、なんか蒼斗くんってさ、怖いんだもん。なんか凄いオーラって言うの?」
「へー…」
「だから若菜ちゃんと友達って知った時、ちょっとビックリしちゃった」
「そう」
「でもね、若菜ちゃんの事、いい奴だって言ってたよ」
「そう」
…蒼斗がね、そんな事。
別にいい奴でもなんでもないけど、いい奴は蒼斗じゃん。
昔っからいい奴だって分かってる。
「で、若菜ちゃん。お願い」
「って言うか、何のお願いか分かんない」
「だから、蒼斗くんに――…」
「だから嫌だってば。そー言うのはね、自分で言ったほうがいいんだよ。…分かった?」
「うーん…」
眉を顰める美奈子は、考える素振りをする。
それから休み時間になる度に、いつもの美奈子に戻った様に、あたしの隣にヘバリついてた。
なのに、未だに“お願い”と頼み込む美奈子にウンザリしてしまったあたしは、放課後になる前、アオにLINEした。