澄んだ空の下で

「お願い。迷惑かけちゃったし…」

「やだよ」


素っ気なく返して再び足を進めるあたしに、美奈子は小走りに駆け寄って来る。


「何で?若菜ちゃん…」

「自分でいいなよ」

「だって、なんか蒼斗くんってさ、怖いんだもん。なんか凄いオーラって言うの?」

「へー…」

「だから若菜ちゃんと友達って知った時、ちょっとビックリしちゃった」

「そう」

「でもね、若菜ちゃんの事、いい奴だって言ってたよ」

「そう」


…蒼斗がね、そんな事。

別にいい奴でもなんでもないけど、いい奴は蒼斗じゃん。


昔っからいい奴だって分かってる。


「で、若菜ちゃん。お願い」

「って言うか、何のお願いか分かんない」

「だから、蒼斗くんに――…」

「だから嫌だってば。そー言うのはね、自分で言ったほうがいいんだよ。…分かった?」

「うーん…」


眉を顰める美奈子は、考える素振りをする。


それから休み時間になる度に、いつもの美奈子に戻った様に、あたしの隣にヘバリついてた。

なのに、未だに“お願い”と頼み込む美奈子にウンザリしてしまったあたしは、放課後になる前、アオにLINEした。

< 72 / 447 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop