澄んだ空の下で
一人学校を出て向かう先はいつもの場所。
空を見上げれば、昨日とは違う空模様。
青く澄んだ空に、ゆっくりと流れる雲。
そんな雲の様に軽快に足がビルへと向かった。
フェンスにしがみ付いて街中を眺めた後、真向かいのビルに視線が向く。
無意識に向いたその場所には、彼の存在すらなく思わず一息を吐いた。
フェンスに背を向けて、座り込む。
視線を空に向けると、相変わらず綺麗な空が広がってた。
暫くの間、眺めていると、スカートに入れていたスマホが震えだす。
スマホを掴んで取り出し、画面を見ると美奈子からのLINEだった。
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若菜ちゃん、勝手に帰らないでよっ!
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あの後、ちゃんと言えたんだろうか。
美奈子の事だから仕方なくと言った感じで言ってそうだけど。
“ごめん、ごめん。また、明日”
それだけ返信すると、持っていたスマホを無造作に鞄の中に突っ込んだ。