僕の可愛いお姫様
「大袈裟だと思うかもしれないけど…」

肩から顔を上げて、泉はそう前置きした。
ゆっくりと上下する泉の肩や、浮き沈みする背中が、「泉が呼吸している」という当たり前の現象を愛しくさせた。

「梅雨李に出逢うまで、ずっと独りだった。
家族もいる。友達もいる。なのに、心のどこかが、ずっと独りだった。
輪の中で一緒になって笑っていても、どうしてか満たされない。

誰がどう見ても、『俺の状態』は独りなんかじゃないのに、感じる『ソレ』は消えてくれなかった。

梅雨李に出逢って気付いたよ。
この場所は、梅雨李の為の場所だったんだって。」

片腕で私を抱き締めたまま、もう片方の掌で、自身の心臓を掴む様に、ギュッとする。

私は、泉のその言葉をすんなりと受け入れた。
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