僕の可愛いお姫様
受話器を通して、泉が息を吸うのが分かった。
何かに決意した様なソレに、私は背筋を伸ばしてその言葉を待つ。

「梅雨李…あのね、冷たいかもしれないけど、俺達に出来る事は…無いんだ。」

静かなトーン。静かな言葉。
ソレは私が待っていた言葉。

私達に出来る事は何もない。
話を聞く事は出来る。慰めの言葉だってかけるだろう。
けれど、根本的に問題に立ち向かえるのは、当事者だけだ。

私達はソレを見守る事しか出来ない。
悔しい。情けないと思う。
理想に現実はいつも追い付かなくて、それでもそうする事が、今の私達の限界だった。
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