僕の可愛いお姫様
再び声を出した時、その声は、急に弱々しく聴こえ、私の心臓はズキズキと錯覚を覚えた。

「私は瑞穂を好き。梅雨李は瑞穂を好きにならない。それなのに、瑞穂は梅雨李が好きで。梅雨李じゃなきゃ駄目で…。
私は瑞穂じゃなきゃ駄目なのに、瑞穂は私じゃ駄目なの。
『こんなに好きなのにどうして?』
『私ならずっとずっと瑞穂だけを大切に出来るのに』って。

何日も何日も悩んだ。
でもね…、答えなんて初めから本当は解ってたの。

瑞穂が私を好きにならない。そこに、理由なんてなかった。
『何で瑞穂が好きなの?』って、そんな事訊かれても解らないもの。
瑞穂だってきっとそうだった。

梅雨李じゃなきゃ駄目な事に、理由なんて解らない。
好きなものは好き。
しょうがないじゃない。
頭より先に、躰がそう叫ぶのよ…。」

俯いて悪戯にストローをグラスの中でくるくると廻しながら、莉世はもう、独り言の様に、言葉を重ねた。
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