―君ノ隣―



「亜由加!!」


ドアの向こうから聞こえるのは大好きな声。

あゆはそっとドアに近寄り開けた。

そこには走って来てくれたのだろうか、息を切らしている政希がいた。


「はぁ…はぁ…どうしたんだよ…。亜由加が泣くなんて…。」



政希はあゆをそっと抱き締めて頭を撫でた。

部屋に入ってベッドに座ると泣いているあゆをただただ抱き締めてくれた。

あゆは小さい子のように声をあげて泣いた。

どのぐらい泣いたんだろ。
こんなに泣いたの久しぶりだな。

落ち着いてから雪奈とケンカしたこと、自分の思いを話した。

政希はあゆを抱き締めたまま何も言わず聞いてくれた。


「もう大丈夫…ごめんね…。」


「ほんとか?ならいいけど…。
今日はゆっくり休みな。おやすみ。」


「うん…。」


「じゃあまた明日。」


「政希!」


「ん?」


「ありがと。大好きだよ。」


「俺も大好きだよ。」



そう言って政希は自分の部屋に戻って行った。

政希のその優しさがあゆは大好きだよ。


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