ポケットに、鍵。
すると。
「また忘れたんですか…」
「えへっ」
リアル隼人君、登場!
切れ長のブラウンがかった瞳、それとは反対に目にかかり気味なのはサラサラの黒い髪。
その奥で光るのはステキ眼鏡。
今日も変わらず、隼人君激似のお隣さんが顔を出した。
お隣さんは最近、何度も何度も鍵を忘れるあたしのことをかなり不審がってはいるけれど。
「時間、潰していくんでしょ」
「いいんですか?」
「…もう慣れました」
こうして部屋に上げてくれる優しさは、初めて会った日と同じ。
迷惑がってはいても最終的には助けてくれる――そんなところも隼人君で、あたしの胸はひっきりなしに胸キュン警報が鳴る。
彼氏の部屋のお隣さんに、今日もあたしは平気で嘘をつく。
ポケットに鍵を忍ばせて―…。

