SAKURA【短編】
目が覚めたとき見えたものは


自分の部屋ではない


真っ白な天井だった


腕から伸びる管の存在を知り


ここが病院であることを理解する


『気分はどうですか?』


と、事務的に聞かれ


『大丈夫です』


と、医者に事務的に答える


『ちょっとした貧血ですよ
公園で倒れていたところを
たまたま通りがかった人たちに
助けられたんですよ』


『そうでしたか…
私、満開の桜を見てーーー
いつの間にか…』


『夢でも見ておられましたか?
今はまだ蕾ですね
来週辺り、四月に入れば
ボチボチ咲くんじゃないかなぁ
早く、咲いて欲しいですね
一応、
頭を打っていないか
後で詳しく調べましょう』


手際よく診察を済ませ、点滴を微調整すると


その医者は部屋から出ていった











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