お風呂上がりの望遠鏡
押領司クンは昨夜からの出来事を話してくれた。
加奈ちゃんを迎えに行ったこと。
昨夜、加奈ちゃんが泊まったこと。
今日、仕事を休んだこと。
私が見たままの出来事が語られた。
来て良かった。
私の中のわだかまりが次第に消えていくのを感じていた。
つまらないプライドを捨てて得られた物は、押領司クンの誠実さだった。
「でも、どうして加奈ちゃんは家を飛び出したの?」
「お父さんにケータイを折られたみたいです」
「ケータイ、持ってたんだ」
「昨日お母さんに買ってもらったばかりだそうです」
「それをオヤジに見つかったんだ」