お風呂上がりの望遠鏡
「これから、どうするつもりなの」
「加奈ちゃんのお母さんに相談してみようと思ってるんですけど、連絡の取りようがなくて」
「壊れたケータイは?」
「家に置いてきたって。だから、今日、加奈ちゃんの家に行ってみたんですけど」
「オヤジがいたとか?」
「まさか、それはなかったんですけど、カギが合わなくて」
「どういうこと?」
「合いカギを隠してあったんです。昔、加奈ちゃんのお母さんが非常用に。だけど、そのカギじゃ開かなかったんです」
「離婚したとき、カギを入れ替えたってことね。あのオヤジならやりかねないかも」
「加奈ちゃんは絶対に帰らないって言ってるし、どうしていいか、わからなくなっちゃって」
「そっか」
「・・・」
「お姉さんにまかせてみる?」
「いいんすか?」
「そうねぇ、その前に家に入れてもらえない?」
「す、すいません」