お風呂上がりの望遠鏡
部屋に入ると加奈ちゃんは慌ててテーブルに戻るところだった。
(こっそり、聞いてたな)
「加奈ちゃん、久しぶり」
加奈ちゃんは座りながら振り向いて、ちょこんと頭を下げた。
私は部屋を見渡し、家具の位置を確認していく。
そして、押領司クンの行動を思い出しながら、ひとり納得していく。
私はガジュマルを見るふりをしながら、西側の窓辺に立った。
ちらりと、私の部屋の様子を探る。
「元気にしてるでしょ」
驚いて振り向くとガジュマルのことだった。
「そ、そうね」
押領司クンはハッとするほど眩しい笑顔を見せた。
「押領司クン、ここでやりましょ。二十歳の誕生日のお祝いを三人でやりましょう」