従順なふりする、彼は狼。
 
定時後の社内、休憩室。

昇進したあたしは、今、新しい商品企画の責任者に就いている。

けれど会議は進まず…。

とりあえず、今までに出た案をまとめようと思って、少し1人で考えていたところだった。


「じゃあ、俺も休憩しよっかな。隣、いいですよね」

「…あ、うん」


神谷君は、あたしの隣に腰を下ろすと煙草を取り出し火をつける。

いつもは頼み事をするとすぐに引き受けてくれるのだけど、今日の神谷君は少し違った。

あたしがココアを飲み終わっても腰を上げようとしないし、2本目の煙草にも火をつける。

それを不思議に思っていると。


「先輩、虚しいんスよね」
 

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