白い金の輪
このまま彼と二人で幸せな生活が続くと信じていたある日、彼がまだ十代だと思える少女を一人連れて帰った。
身よりもなく行く当てのない少女を、彼は家に置く事にしたと言う。
私の時と似ている。
私も家に居場所がないと言って、彼に縋った。
薄々感付いてはいたが、彼は整った容姿と人当たりの良さで女を引きつける。
そして来る者を拒まない。
突然転がり込んできた少女は、若い事を理由に何も出来ないと主張して、店の手伝いも家の事も一切しない。
少しは何か手伝うように言うと、まるで私がいじめているかのように彼に告げ口をする。
そして彼のいないところで、私に悪態をついた。
私が少女を煙たく思っているように、彼女も私が邪魔なのだろう。
彼に訴えても、子供のやる事にいちいち目くじら建てるなと、取り合ってくれない。
少女は若い事を武器に、わがまま放題で私を追い詰め、その若さで夜は彼を独占した。
ふすま一枚で隔てられた隣の部屋で、毎夜のように少女が、これ見よがしに嬌声を上げる。
とうとう耐えられなくなった私は、雨の夜雨音に紛れて、彼の家を飛び出した。